車掌さんの恋・風の牧場 

車掌さんの恋

車掌さんの恋

以前読んだ「月とシャンパン」がとても面白かったので、また有吉玉青さんの本を読んでみました。
電車の中でおこるストーリーの短編集です。
個人的には「ボックスシート」が一番良かった。スイッチバックする電車の「背走」と「不倫」とが絡まって揺れる主人公の気持ちが巧みに描かれています。
どの話もす〜っと入ってきてテンポ良く読みやすく、登場人物の心理描写もうまいですね〜。
風の牧場

風の牧場

こちらは短編のような長編のような。一人の女性の話がいろいろな年代を通して進んでいきます。こういう話の進め方はあまり読んだことがないので新鮮でした。偶然の出会いがたびたび出てきたのは気になったけれども、会ったことのない「父」の面影を求める主人公の姿を通して、「家族のかたち」みたいなものがかかれています。さりげなく心温まる終わり方もよかったです。